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TENTIALがエビデンス取得に本気で取り組む理由。「アパレルの会社」ではなく、「健康を届ける会社」へ|舟山健太

こんにちは、株式会社TENTIALの舟山健太です(@Kenta913Biz)
おかげさまで、2023年8月1日付けで執行役員 Chief R&D Officer (CRO)に就任しました。経営戦略本部の本部長を務めつつ、CROとして会社全体の研究開発(基礎研究、商品開発、エビデンス取得、アウトカム研究)を統括する立場となりました。立場に甘えることなく、より一層気を引き締めて、ミッションである「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」の実現のために、少しでも貢献できるように一歩づつ歩む所存でございます。
この度、2023年9月12日に開催しました当社のメディアイベント「Potential Conference 2023F/W」にて、TENTIALのR&Dの取り組みについて発表させていただきました。

Potential Conference 2023F/W

当社は、現在取り扱っている商材の構成から、アパレル企業と勘違いされることが多いですが、これは違います。当社はウェルネス企業であり、「健康に前向きな社会」を創るために、コンディショニングサービスを事業としています。その一つとして、「TENTIAL」というブランド事業を行っており、人々の24時間365日をTENTIALのコンディショニング製品で支えることで、人々の健康と挑戦をサポートして、自身のもつポテンシャルを最大限発揮できる世界を実現していくことに本気で取り組んでいる集団です。

つまり、私たちは「健康」や「コンディショニング」を届けることを経営の根幹としている企業です。こうした背景をもつことから、コンディショニング研究や、科学的エビデンスに基づく商品開発、人々の健康課題に対するアウトカム実証実験、等のR&D活動は経営戦略の大きな柱となります。今回のPotential Conference 2023F/Wの発表においてこの部分を強調したのは、中長期の経営戦略としてR&D活動に注力していくという、当社の強い意志表示です。

本noteでは、TENTIALのR&Dについて、1)これまでの取り組み、2)今後の展望、の2つのトピックについて記載したいと思います。本noteを最後まで拝見いただいた方々に、「TENTIALはコンディショニングに本気だな」という感想をいただいていただけたら幸いです


これまでの取り組み

エビデンス取得を新たに事業のバリューチェーンへ組み込む

会社の創業から6年目、そして8月でブランド立ち上げから4周年となった当社ですが、実はブランド立ち上げ当初からR&D活動、特に機能性製品の科学的エビデンス取得の取り組みは、しっかりと行えていたわけではなく、ここ1年半で大幅に強化してきました。

私が入社した当初には、エビデンス取得のプロセスは事業のバリューチェーンに組み込まれていませんでした。

本質的に健康に良い製品、いわゆる「うさんくさくない」製品、を消費者の方々に届けるためには、科学的エビデンスを取得するための研究や試験が必要不可欠です。私は薬科学の研究で博士課程を修了しており、大手製薬会社の生物系の研究者としてゴリゴリ研究をしていた経験があったことから、エビデンス取得の仕組化を入社時の最初のミッションとして任されました。

R&D組織立ち上げ

R&D経験は豊富にある一方、R&D組織の立ち上げは未経験だったため、自分なりに考え手探りでアプローチしていきました。R&D、特にエビデンス取得を事業バリューチェーンに組み込む上で一番のステークホルダーとなるのが商品開発部とマーケティング部だったのですが、社内で研究経験があるのが自分しかいなかったことから、エビデンスとはどういったものか?エビデンスを取得するのは何週間の単位ではなく何カ月単位の期間が必要であること、また大規模なものだとかなりの費用がかかるもの、という基本的な知識の共通認識をもってもらうところから社内メンバーにインプットしていきました。

幸いにも社内にはとても柔軟な思考をもち、こちらの意見に全力で耳を傾けてくれる素晴らしいBUDDYが揃っているため、すぐにエビデンス取得に取り掛かることができ、比較的早く仕組化ができたのではないかと思っています。(当社では従業員のことをBUDDYといいます)

TENTIAL独自のエビデンス取得のフレームワークの構築

事業を目的として研究を行う際には、もちろん研究を行うためのスキルや学術的な知識を兼ね備えている必要がありますが、それだけでは不十分で、ビジネスマインドも持ち合わせていることが非常に重要です。

科学的に本質を捉えた実験を組みつつ、非科学者の方でも理解しやすく魅力として伝わりやすい結果が得られるような試験にしなければいけません。さらに、当社のようなスタートアップでは研究に使用できる予算が大手企業と比較して潤沢にあるわけではないので、上記の条件を満たす試験を最小限の費用で組む必要があり、さらに難易度があがります。

私は、各商品について、開発段階や市場での成熟度、そして当社としての商品の優先順位などに応じて、

  • 研究にかかる費用感

  • エビデンスの種類

  • 試験デザインの信頼度(例:盲検 or 非盲検、倫理審査の必要性、等)

  • 試験の規模感(例:被験者の人)

などを段階的にレベルアップさせていくTENTIAL独自のフレームワークを新たに構築しました。

これにより、製品の成熟度に応じてエビデンスの充実度と信頼度が増していくような仕組みづくりに成功し、当社のようなスタートアップでも科学として本質的なエビデンスを取得をすることが可能な体制を築きました。

特にこの仕組みを作る上で気を付けた点としては、一言でエビデンスと言っても様々なものがあるため、TENTIALの考えるエビデンスの種類をしっかりと定義することです。今後変更があるかもしれませんが、現状下記のように整理しています。

  • 機能性のエビデンス:例えばリカバリーウェアBAKUNEでいう遠赤外線作用やTENTIALインソールのキュボイドバランス理論などのように、製品そのものの特性を示す科学的データ。

  • 効果効能のエビデンス:例えばリカバリーウェアBAKUNEでいう機能性をもった製品が、ヒトのカラダに与える影響を示す科学的データ。

  • 健康課題解決のエビデンス:例えばリカバリーウェアBAKUNEでいう眠りやすさや中途覚醒など、製品の効果効能によってヒトの健康課題を解決するかの検証データ。

身体の専門家を巻き込んでの商品開発

次に私は、商品開発の段階で専門家を巻き込む仕組みを商品開発部と一緒に構築しました。当社のブランドは、インソールからリカバリーウェア等、様々な商品を展開しています。

全ての商品は、当社のファースト・ビジョンで掲げている「身体を充電する」機能性製品であることは共通点としてあるのですが、一つ一つの商品を開発する上で必要な身体に関する専門知識は異なってきます。例えば、スリープカテゴリーに関連する製品なら睡眠の専門性、フットカテゴリーに関する製品なら足に関する専門性が必要となります。

とても大事なので何度も同じことを述べますが、当社はアパレル企業ではなくてウェルネス企業であるため、当社が開発する製品は本質的に身体を健康にするものでないといけません。健康機能はオプションではなく、製品の根幹となります。

こうした考えのもと、商品開発の段階から専門家を巻き込む座組を構築しました。その代表例としてあげられるのが、Body Care Innerです。

この商品は、コロナ渦で顕著になったデスクワーク時の姿勢の悪さからくる健康課題を解決するために開発された、姿勢補正機能をもつインナーです。身体機能に関するプロである理学療法士の方に商品開発段階から全面監修いただき、機能形態学や運動連鎖の知識を活用することで、効率よく正しい姿勢に導くサポート構造を実現しています。

ぜひ一度商品ページを拝見いただきたいのですが、一つ一つのサポート構造が全て科学的な理論に基づいて設計されていることが分かるかと思います。

もちろん、その他の商品も専門家の方の知識や技術、身体に関する感度の高いアスリートの知見やノウハウなどがふんだんに盛り込まれています。このような専門家の方々を巻き込んだ商品開発は、今後も当社の基本的なスタイルとなると考えています。

アカデミック研究機関(大学)との共同研究

前述したように、当社は専門家の方々と積極的にコラボレーションすることで、本質的に健康に良いコンディショニング製品を届けることを大切にしています。そうしたことから、大学などのアカデミック研究機関と共同研究を行うことで、エビデンスを取得する取り組みもしています。

代表的な取り組みとしては、早稲田大学睡眠研究所との共同研究です。睡眠研究所の所長であられる西多昌規教授の監修の下、遠赤外線の輻射機能をもつリカバリーウェアが睡眠にもたらす影響の生理学的研究を行いました。

研究内容の詳細は割愛させていただきますが、脳波・皮膚温度・鼓膜温度・発汗・自律神経・主観的評価などの測定を行った結果、リカバリーウェア着用により速やかな睡眠の誘導と快眠の持続に作用することが示唆されました。

詳しい内容にご興味のある方は、ぜひ下記のプレスリリースをご覧ください。本研究成果は、2023年9月に行われます睡眠学会第45回定期学術集会にて発表をする予定となっております。

上記に関して小話をさせていただきますと、こちらの共同研究は私が入社する前に既に話し合いは始まっており、入社時には共同研究を進めるための準備をしている段階でした。

当社のバリューの一つとして、「DYNAMIC」というものを掲げています。

正式な説明としては、「自ら立場や意見を持ち、動的な活動を通じて、周囲へ影響を及ぼす。」となりますが、誤解を恐れずにすごくかみ砕いた言葉にすると、「失敗を恐れずに行動に移し、人々を巻き込みながらチャレンジすること」というような意味となります。

研究バックグランドをもつ社員がおらず、右も左も分からない中、大学の先生にアプローチして共同研究を(失敗を恐れずに)仕掛けるあたりが、まさにこのバリューを体現しているなとそのときに実感しました。ここTENTIALの強味であり、このDYNAMICな動きがなければ取り組みは実現できていなかったかもしれません。

その後、私が入社したので、しっかりと巻き取らせていただき、先生と研究内容の細かいところまですり合わせ、無事着地させれて良かったです。

一般医療機器の新設区分「家庭用遠赤外血行促進用衣」の自主基準への対応と医療機関との取り組み

当社のリカバリーウェアは一般医療機器の届出をしている製品です。リカバリーウェアにおいては、2022年10月の厚生労働省からの告示により、一般的名称「家庭用遠赤外線血行促進用衣」が新設され、これに伴いこれまで届出をなされていた区分から2023年12月14日までに移行もしくは届出の廃止の完了が求められています。

当社は「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」をミッションとし、科学的根拠に基づく信頼できる製品をお客様に届けることを第一に考えていることからも、本新基準に賛同し、即座に切り替えのための準備を開始しました。

一般社団法人日本医療機器工業会が作成する自主基準に従い、当社としては初の試みとなる医療機関との取り組みを行いました。医療機関との取り組み事例がなかったことから、そもそもどうやったら試験を行えるのかを考えるところから始め、数十件の問い合わせを行い様々な方のご教授やアドバイスを受けることで、試験を引き受けてくださる医療機関を見つけることができました。そして、何度も医療機関を訪問し、オペレーションや測定方法を先生方と一緒に細部まで検討することで、自主基準に従った安定性と精度の高い試験系を確立することに成功しました。

現在(2023年9月13日時点)、2023年4月に新設カテゴリーへの届出が完了していたスウェットタイプのBAKUNEの新設カテゴリーでの販売を開始しており、また、リカバリーウェア「BAKUNE」シリーズの全製品(2023年8月10日時点)を移行期間内に新設カテゴリーへ適合完了し、販売を開始する予定となっております。エビデンスに本気で向き合うという当社のスタンスは、下記の「家庭用遠赤外線血行促進用衣」移行に際しての特設ページにも記載しております。ぜひご一読いただけますと幸いです。

今後の展望

これまでのR&D活動は、商品開発と商品に紐づくエビデンス取得に範囲が限られてきていました。このたび、当社のR&Dはパワーアップしたことから、引き続き専門家の方々やアカデミック研究機関や医療機関との連携を強化しつつ、信頼性の高いコンディショニング製品のポートフォリオを拡充していくことはもちろんのこと、下記2点にも新たに力をいれていきたいと考えております。
1.人々の健康課題を解決するアウトカムの創出
2.健康的な街づくりへの貢献

人々の健康課題を解決するアウトカムの創出

これまでの活動で、製品の機能性やヒトの身体に与える影響や効果効能についての取り組みを実施してきました。今後もこの取り組みは強化することは大前提としつつ、次なるステップとして、「実際に人々の健康課題を解決している」というアウトカムを出すための取り組みをしたいと考えております。

その取り組みの先駆けとなるのが、9月12日のPotential Conference 2023F/Wで発表させていただいた、NTT東日本様とパラマウントベッド様との取り組みとなります。本取り組みでは、テンシャル製品を用いることで企業で働く社員の方々の健康課題を解決できるのかをスモールスケールで検証しています。

ここで強調したい点としては、これまでのエビデンス取得とは異なり、複数の製品を用いて検証を行っている点です。この取り組みにおいては、目的は健康課題を解決することであって、ある一つの製品が効果があるかどうかを見極めるための試験ではないです。

本取り組みのようなアウトカムの実証に関しては、TENTIALがもちうるコンディショニングの全ての知識・ノウハウ・技術・製品の全てを合わせることで、人々のコンディショニングをサポートし、「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」の実現に近づきたいと思います。

健康的な街づくりへの貢献

「健康に前向きな社会」を実現するためには、国民一人一人のコンディショニングのサポートする事業を当社が行うだけでは不十分であり、人々がコンディショニングによって健康になれるような環境を整える必要があります。

専門家の方々や大学や医療機関との連携を強化し、各種エビデンスや健康課題を解決するアウトカムを取得していき信頼を築いた上で、次なるステップとして、ウェルネス・健康・コンディショニングに強い関心をもつ自治体との取り組みも強化していき、その街に暮らす人々がコンディショニングを行いやすい環境づくりや、自治体単位でのアウトカムの実証実験などを行っていくことを展望としてもっています。

最後に、TENTIALは事業会社であり、資本主義のルールのもと活動していることから、事業の持続可能性のためには売上・利益をあげることはとても重要であることは変わりありませんが、あくまで当社は根幹の経営は「ミッション・ドリブン」です。

2023年2月に記載した入社エントリーnoteでも記載したとおり、私個人としては、TENTIALのミッション・ビジョンにものすごく共感したことが入社の一番のきっかけとなっています。

上記であげたR&D活動を通じて人々のカラダをコンディショニングしていくことが自分の使命であるとともに、また自分が一番やりがいを感じる部分でもあるので、未来への想像にワクワクしつつ、刺激的な毎日を過ごしています。

今後とも、「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」ために邁進していきますので、どうぞ応援していただけますと幸いです。X(旧twitter)アカウント:@Kenta913Biz)