TENTIALのバリュー物語。いかにして生まれ、浸透するに至ったのか
「もっとダイナミックにできそうじゃない?」「理想から逆算した時にやる必要があるんだっけ」── 。TENTIALにいると、そのような会話が交わされている場面によく出会います。
TENTIALでは2022年2月に「Dynamic」「Essential」「Buddy」という3つのバリューを策定しました。当時からは社員数も4倍に増えて100人を超える組織となりましたが、今でも普段の会議からSlack上でのやりとりに至るまで、さまざまな会話の中でバリューが飛び交っています。
でも、考えてみれば「どのような背景で現在のバリューが誕生したのか」を詳しく知らない。そこで今回は創業者の中西と執行役員の横田に「TENTIALのバリューの成り立ちとそこに込めた想い」について聞きました。
TENTIALに関心がある、TENTIALのことが気になっているという方にとって、会社のカルチャーや考え方を知っていただく機会になれば嬉しいです。
出発点は「若くて経験の浅い自分たち」が爆発的な成果を出すための考え方
── TENTIALでは「Dynamic」「Essential」「Buddy」という3つのバリューを掲げています。このバリューが誕生したのはいつ頃だったのでしょうか。
中西 : 2022年の2月に作りました。ただTENTIALとして最初にバリューを作ったのは創業期の2019年の夏頃です。個人的にも創業時からバリューを重要なものとして位置付けてきました。
それは、TENTIALは僕が23歳の時に立ち上げた会社であり、若いメンバーで構成されていたからです。「若くて経験の浅い自分たち」がビジネスの世界で爆発的な成果を出していくためには何が大事なのか、必死で考えていました。
その中でも軸となる考え方を言語化したものが、最初に作ったバリューです。
── 最初のバリューにはどのような想いが込められていたのでしょうか。
中西 : 当初バリューとして打ち立てていたのは「スタンス」「スキル」「カルチャー」の3つです。この考え方は自分がリクルートや創業期のスタートアップで働いていた際の学びが原体験となっています。
スタンスという表現を選んだのは、果敢にトライしていく気持ちを常に持ち続けていたいという想いからでした。過去に自分が「大きなものを得られた」と感じたのはどんな時だったのか。実体験を振り返ってみると、日々の小さな積み重ねの中で「無謀」と思えるような挑戦をした時こそ、新たな道が開けたり、素敵な仲間と巡り会えたりしたことに気付きました。
TENTIALにおいてもこの「果敢に挑戦するスタンス」は絶対になくさないようにしたかったんです。
── 挑戦するスタンスというのは、現在のバリューの1つである「Dynamic」という表現にも受け継がれていますね。
中西 : ただ、気持ちだけではどこかで壁にぶち当たってしまいます。僕自身もスタートアップで事業責任者を務めていた際に、急速に組織が拡大していく中で何度も壁に直面しました。そこで自分に不足していると感じたのが、壁を乗り越えるためのスキルや経験だったんです。
僕はスキルとは何かを考える上で「物事の本質を理解すること」が肝になると考えています。良いクルマを作るためには、クルマ全体の構造や、それを構成する各パーツのメカニズムを深く理解していなければならない。その理解があって初めて「どこをどのように変えたらもっと良いクルマができるのか」が見えてくるし、クルマを製造する力を活かすことができます。
スキルという表現に込めたのは、複雑な課題を細かく分解し、本質を理解した上で最適な打ち手を考えていく力を養っていこうという想いです。スキルと言うと特定領域の技術や知見をイメージされるかもしれませんが、TENTIALにおいてはその土台となる力という意味合いでこの表現を用いていました。
この物事の本質を見抜くスキルと前向きに挑戦する気持ちを持った人たちが、同じ映像を分かち合い、境界線を引くことなく一枚岩になれたら、強大なパワーが発揮できるはず。3つ目のバリューにカルチャー(組織貢献)を入れていたのは、そのような考えからです。
── 現在の3つのバリューと照らし合わせてみても、根本にある想いは共通しているように感じました。
中西 : まさに現在のバリューは、スタンス・スキル・カルチャーの3つを出発点として生まれたものです。表現は何度かブラッシュアップされていますが、根本にある考えや想いは変わっていないんですよ。
── これまでに何度かバリューをアップデートしていますよね。どういった時にバリューをアップデートしてきたのでしょうか。
中西 : 具体的なイベントがあったわけではなく、「今よりももっとわかりやすい表現があるよね」といった言葉が社内から出てきたことを機に、チューニングをしてきたようなイメージです。
例えば最初のバリューであるスタンス・スキル・カルチャーは幅広い意味合いを持つような抽象度の高い言葉なので、わかりやすさに欠けます。一般的に使われる言葉であるため、TENTIALらしさという観点でも改善の余地がありました。
そこで「挑戦」「再現性」「共同体」という言葉に変えて運用してみたのですが、この3つの表現は少し堅苦しい気もするし、もっと他に普段の会話などで自然と使われるような表現がありそうという話になったんです。
勢いのあるスタートアップの事例を調べても、シンプルで力強い英語の表現を使っている企業が多かったため、英語に変更しました。現在のバリューへと進化するにあたっても、常に「わかりやすさ」や「TENTIALらしさ」が論点になっていたように思います。
── そのような背景があったのですね。特に表現に関してはかなりこだわって、細かなアップデートを重ねてきたことがわかりました。
中西 : 実はバリューの順番にもこだわっています。現在は「Dynamic」「Essential」「Buddy」という並びになっていますが、一度DynamicとEssentialの順番を入れ変えたことがあるんです。
当時、社内で行動や挑戦の数は増えているものの、本質的な目的が伴わないものも含まれているように感じていて。試しにバリューの順番を変えてみたんですよ。するとEssentialであるかどうかを考えすぎるあまり、そこで止まってしまうという現象が増えました。
DynamicとEssentialはどちらも不可欠ではあるのですが、TENTIALとしてはまだまだチャレンジャーとして、時には失敗も経験しながら、それを糧に壮大なミッションの達成を目指していかなければならない立場です。
まずはDynamicに行動して、旗を立てていく。そうすることで社内に新たなモメンタムが生まれます。その上でEssentialを突き詰めていく。今のTENTIALのフェーズにおいては、この順番が最適だと考えています。
社内の会話でバリューが飛び交うようになった理由
── 組織の規模が拡大すると、バリューを浸透させていく難易度も上がると思います。バリューを作った当時、それを浸透させていくことについてはどのように考えていましたか。
中西 : 社内にバリューを根付かせることは創業期から意識していました。仮に自分や経営陣が突然いなくなったとしても、TENTIALのアイデンティティが受け継がれていき、存在意義のある会社として持続する状態にしたいと考えていたからです。
また社内で議論をする際に「TENTIAL」を主語にして意見を述べることができれば、みんなの仕事が楽になるのではないかという仮説を持っていました。個人の主観に基づいた議論だと、それぞれの好き嫌いに左右されてしまう場合があります。一方で「TENTIALの考え方」が共通認識として浸透していて、それを軸に議論ができれば、理由づけもしやすいし納得感も生まれますよね。
何か判断に迷った時の道しるべになるものが、“特定の人”ではない方が良いのではないかと考えています。
── そのような考えは創業期から社内で話されていたんでしょうか。
中西 : 創業期からよく社内で話していたことの1つが、勝ち続ける組織や持続する組織を作るためにはどうすればいいかということです。これはビジネスだけではなく、スポーツにおいても共通します。どのようなチームスポーツでも常勝軍団と言われる勝ち続けるチームもあれば、負け続けてしまうチームもあります。
勝ち続けられるチームの多くは、核となるアイデンティティが確立されていて、それに基づいた規律が整備されているように感じます。うまくいっている時は、自由にやっていても良いのかもしれません。ただ本当に苦しい状況に陥った時にこそ、土台となる指針があることでチームが同じ方向を向いて、前に進んでいけるのではないかと思うんです。
── 実際にTENTIALで働いていると、会議やSlack上の会話の中でよくバリューが飛び交っていますよね。このような状態はいつ頃から生まれたのでしょうか。
中西 : どうなんだろう……。ぜひ横田さんに聞いてみたいです。
横田 : 10人〜20人規模の段階では、すでにみんなが会話の中でバリューを使っていた気がします。業務委託という形で関わるようになった際に「バリューが浸透している会社だな」という印象がありました。
今でも会議をしていると「その意見はDynamicで良いね」とか「あまりEssentialではなくない?」といった言葉を頻繁に耳にします。何か物事の核心に迫るような議論への入口として、バリューが使われている感覚があるんですよね。
── バリューが浸透している印象があったとのことでしたが、横田さんは何がその要因だと思われますか。
横田 : 代表である中西さんが口酸っぱく言い続けていることが大きいと思います。TENTIALでも「バリュー賞」のように、バリューの浸透を後押しする取り組みをいくつか取り入れてきました。ただ、1番は中西さんが創業期からブレることなくバリューの大切さを言い続けてきたことに尽きますね。
これはバリューに限った話ではなく「ブランドを大事にする」ことに関しても同じで、会議の中で「これってブランドとしてはどうなんだろう」という議論によくなるんです。営利企業として売上の目標を掲げてはいますが、TENTIALとしては立ち上げ期から事業とブランドの両輪を大切にしてきました。この考え方も中西さんが社内に向けて発信し続けてきたからこそ、浸透しているのだと思います。
行動指針を明文化した背景にあった課題
── バリューに関連する話として、2024年2月のリブランディング時に「11個の行動指針」を明文化しました。これにはどのような背景があったのでしょうか。
中西 : 組織の拡大に伴って、バリューを用いた抽象度の高いコミュニケーションが難しくなり、それだけでは当事者の間で認識のズレが生じやすくなっているように感じていました。
例えばマネージャーとの1on1で「もっとDynamicにやってみたらどうか」とフィードバックされたとします。20〜30人ほどの規模だった頃であれば、みんながバリューの概念や成り立ちをなんとなく理解していたので、このくらい抽象的なコミュニケーションでも成立することが多かった。そもそも僕が直接フィードバックできる人数だったので、自分の言葉で噛み砕いて説明することもできました。
ただ組織が50人、100人と大きくなってくるとそうはいきません。事業部や階層といった概念が生まれ、毎月のように新しい仲間も加わってきます。
「Dynamic」と言われても、具体的にはどのように考えることがダイナミックなのかがわからない。特に入社したばかりのBuddy(メンバー)が、バリューに込められた意図やニュアンスをキャッチアップするまでに時間がかかってしまう状況でした。
そこで暗黙知となっていた部分を「行動指針」という形で言語化することにしたんです。
── 11個の行動指針はどのように作り込んでいったのでしょうか。
横田 : マネジメント層で合宿をした際に、TENTIALにおける「良いアクション」と「良くないアクション」をリストアップしました。そして翌月の本部長合宿で、各アクションがどのバリューに関連するのかをラベリングしていって。最後に外部のコピーライターさんの協力を得ながら、具体的な言葉へと落とし込んでいきました。
中西さんの原体験や想いがバリューの土台になっているので、細かな表現をブラッシュアップする上で中西さんとは10〜20回くらいラリーを重ねています。
中西 : 行動指針については頻繁に変えすぎるのはどうかと思いつつ、会社の置かれている状況に応じてアップデートしていくべきだとは考えています。
大事なのは会社のミッションとビジョン、バリューに基づいた行動の総量が増えて、みんながエネルギーを発揮できる環境を作ること。行動指針はそのためのレールというか、コミュニケーションツールのようなものだと捉えています。言葉として浸透するに越したことはありませんが、最初は迷った時に見返すチェックシートのようなものでも良いのかなと思うんです。
横田 : 必要に応じてチューニングを重ねていくべきだという考えは同じです。11項目の中の数項目だけが重要だとなれば数を絞っても良いし、逆に足りなければ付け加えてもいい。現時点ではその判断ができるところまで至っていないことが、僕自身の課題だと感じているところです。
行動指針がみんなの日常業務に紐づき、自信を持って働けるような環境を作っていくことが自分のミッションの1つだと思っています。
── まさに行動指針を広げていくための取り組みとして、「行動指針推奨くらぶ」のようなアクションも社内で広がり始めていますね。
横田 : 元々は健太(ウェルネスイノベーション本部長の舟山)さんが、ウェルネスイノベーション本部の中で自発的に実施されていた取り組みです。すごく良いものだと思ったので、ブランド戦略本部でも真似して取り入れました。
TENTIALの場合は各本部が自発的に試した取り組みが、社内でどんどん広がっていくことが多い。行動指針推奨くらぶもまさにその代表例ですね。
TENTIALのカルチャーに合う人
── 今回お話を伺った背景には、TENTIALに関心を持っていただいた方々に、私たちの企業文化をより深く知っていただきたいという想いがありました。お二人はどのような人がTENTIALのカルチャーにフィットすると思いますか。
中西 : お互いが目指している方向性とスピード感が一致するかどうかが大きいと考えています。まずはTENTIALのミッションやビジョンと、ご自身がやりたいことや実現したい夢がフィットするのかどうか。健康に全く興味がない、コンディショニングはどうでも良いという人だと、おそらくTENTIALに入っても辛いだけですし、お互いのためにも一緒に歩むべきではないですよね。
またTENTIALは「高く、速くチャレンジする」会社です。「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」という難易度の高いミッションを掲げていますが、これを何百年・何千年単位でゆっくり実現しようとは考えていません。
この方向性やスピード感が合致すれば、TENTIALのカルチャーにフィットする可能性も高いです。本気で高く速くチャレンジするためには、必然的にダイナミックさやエッセンシャルさ、バディとの信頼関係の話にもつながると考えています。
── 横田さんはいかがでしょう。
横田 : 大前提として良い人、誠実な人でしょうか。当たり前のことを言っているように感じるかもしれませんが、世の中には「ものすごく優秀でも誠実ではない人」もいます。
僕自身、TENTIALへの入社を決断するにあたって最後の決め手になったのは、誠実で愚直な人が集まっていたことでした。自分にとっては何をやるかと同じくらい、誰とやるかも大事なこと。誠実で愚直なメンバーが集結していることは組織としての強みになると感じていましたし、そんな環境だからこそ組織として最大限のエネルギーを発揮できると思ったんです。
バリューの1つにBuddyという言葉を入れているくらいですから、お互いに信頼できて、背中を預けられるような人と一緒に働けると嬉しいですよね。
TENTIALでは「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」というミッションの実現に向けて複数のポジションで採用を強化しています。ご興味を持っていただいた方は、ぜひ下記のリンクもご覧ください!